豪雪地帯の屋根選びで後悔したくない方へ。代表的な屋根の種類と雪国での選び方

豪雪地帯である上越地域での家づくりにおいて、屋根はとても重要な部分です。

屋根は家の外観を大きく左右するため、デザインから考える方も多いと思います。

しかし雪国では、見た目だけではなく、

「雪をどこに落とすのか」
「屋根の上に雪を載せておくのか」
「将来、雪下ろしをどうするのか」

といった、冬の暮らしまで考えて屋根を決める必要があります。

こんにちは。タケハウス代表の竹内です。

上越市を中心に、地域の気候に合わせた家づくりを行っています。

今回は、まず住宅で使われる代表的な屋根の種類をご紹介したうえで、雪の多い上越地域ではどのように屋根を考えればいいのか、私たちなりの考えをお伝えします。

まず知っておきたい、代表的な屋根の種類
屋根には非常に多くの形があり、細かく分類するとかなりの種類があります。

今回はそのすべてをご紹介するのではなく、一般的な住宅でよく見られる代表的な屋根形状に絞ってご紹介します。
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切妻屋根
いわゆる「三角屋根」で、2方向に傾斜したシンプルな形です。

昔から日本の住宅で多く採用されており、雨や雪を流しやすいのが特徴です。

屋根の構造が比較的シンプルなので施工もしやすく、複雑な屋根と比べて雨仕舞もシンプルにできます。

雪国でも採用しやすく、雪を落とす方向を計画しやすい屋根です。

片流れ屋根
一方向だけに傾斜した屋根です。

形が非常にシンプルで、すっきりとした現代的な外観にしやすいのが特徴です。

屋根面を大きく確保できるため、太陽光パネルを設置する住宅でもよく採用されています。

一方で、雨や雪が一方向に集中するため、雪をどこへ落とすのかを敷地計画と一緒に考えることが重要です。

寄棟屋根
屋根が4方向に傾斜している形です。

どの方向から見ても屋根が見え、落ち着きのある外観にしやすいのが特徴です。

一方で、切妻屋根や片流れ屋根に比べると屋根の構造が複雑になり、棟や接合部分も増えます。

そのため、施工の手間や材料、将来のメンテナンスについても考えて採用する必要があります。

入母屋屋根
切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせたような形で、昔ながらの日本住宅や和風住宅によく見られます。

重厚感があり、和風建築ならではの美しい外観をつくれることが魅力です。

その反面、屋根形状が複雑になるため、施工に手間がかかり、シンプルな屋根と比べると建築費やメンテナンス費用もかかりやすくなります。

陸屋根・フラット屋根
外から見ると、ほぼ平らに見える屋根です。

実際には雨水を排水するための勾配を設けますが、四角くすっきりとした外観にしやすいのが特徴です。

雪を自然に落とすのではなく、屋根の上に載せたままにする「耐雪式」の住宅にも使われます。

ただし、雪を載せる場合には、その重量に耐えられる構造が必要になるため、積雪荷重を考慮した設計が欠かせません。

なぜ雪国の屋根は「シンプル」が良いのでしょうか?
屋根の形状が複雑になればなるほど、雪が特定の場所に溜まりやすくなる「谷」と呼ばれる部分ができることがあります。

そこに湿った重い雪が溜まると、屋根に不均等な荷重がかかるだけでなく、雪が融けた際の水はけや雨仕舞についても、より慎重な設計・施工が必要になります。

また、凹凸の多い屋根は部材や接合部分が増え、施工にも手間がかかります。

つまり、屋根をシンプルにすることには、

・雪の流れを計画しやすい
・構造をシンプルにしやすい
・雨仕舞を単純にしやすい
・施工箇所や部材を減らしやすい
・将来のメンテナンスもしやすい
・建築コストを抑えやすい

といったメリットがあります。

もちろん、複雑な屋根そのものが悪いわけではありません。

建物のデザインや間取りによって、さまざまな屋根形状が必要になることもあります。

ただ私たちは、特別な理由がなければ、できるだけシンプルな屋根にすることが、構造的にもコスト的にも合理的だと考えています。

屋根を必要以上に複雑にしてコストをかけるより、その分を構造や断熱性能、設備など、実際の暮らしや住宅性能に関わる部分へ充てる。

これも、限られた予算の中で良い家をつくるための一つの考え方です。


雪国では「屋根の形」だけでなく「雪をどうするか」を考える


上越地域で屋根を考える場合、形状と同じくらい重要なのが、積もった雪をどうするかです。

大きく分けると、

雪を自然に落とす「落雪式」

と、

雪を屋根の上に載せておく「耐雪式」

という考え方があります。

どちらが優れているというものではなく、敷地の広さや周辺環境、建物の配置などによって向き・不向きがあります。

敷地にゆとりがあるなら「落雪式」
隣家との距離が十分にあり、落ちた雪をためておけるスペースを確保できる場合は、切妻屋根や片流れ屋根などの勾配を利用して、雪を自然に落とす方法があります。

自然に雪を滑り落とすことができれば、屋根の上に大量の雪が積もり続ける心配を減らすことができ、雪下ろしの負担を軽減することにもつながります。

ただし、ここで非常に重要なのが、

「その雪をどこに落とすのか」

ということです。

玄関や駐車場に大量の雪が落ちれば、毎日の除雪が大変になります。

道路側へ落ちるような屋根も危険ですし、当然ながら隣の敷地へ雪を落とすような計画も避けなければなりません。

「雪をどこに落とすか」は、ご近所との関係にも関わります
雪国に住んでいる方なら分かると思いますが、雪の問題は意外とご近所トラブルにつながりやすいものです。

屋根から落ちた雪だけでなく、

「除雪した雪をどこに置くのか」

という問題もあります。

少し極端な例ではありますが、2021年にアメリカ・ペンシルベニア州で、雪かきをめぐる近隣住民同士の口論がエスカレートし、夫婦2人が射殺され、撃った男性も自殺するという事件が起きています。

CNNの報道によると、夫婦が駐車場の雪を道路の向かい側にある男性の敷地へ投げ入れていたことから口論になり、さらにその2カ月前にも雪かきをめぐって口論していたとされています。

もちろん、これはかなり極端な事例です。

ただ、それほど「雪をどこに置くのか」という問題は、場合によっては近隣関係にも影響するということです。

だからこそ、家を建ててから考えるのではなく、設計の段階から、

「屋根の雪はどちらへ落ちるのか」
「落ちた雪をどこにためるのか」
「玄関や駐車場を塞がないか」
「道路や隣地へ影響しないか」
「除雪するためのスペースを確保できるか」

まで考えておくことが大切です。

夏の完成した姿だけではなかなか気付きにくい部分ですが、豪雪地帯では毎年の暮らしに直結します。

雪が降ってから考えるのではなく、雪が降ったときの敷地全体を想像して家を設計する。

これは、上越で家を建てるうえで非常に重要なポイントだと思っています。

狭小地や住宅街なら「耐雪式」
敷地が限られていて、雪を落とすスペースを十分に確保できない場合には、雪を屋根の上に載せたままにする「耐雪式」という選択肢があります。

周囲へ大量の雪を落とさないため、住宅が近接している土地では大きなメリットがあります。

ただし、上越で耐雪式を考える場合に特に注意したいのが、雪の量だけではなく「雪の重さ」です。

上越の雪は「量」だけでなく「重さ」にも注意
同じ1mの雪でも、雪の状態によって重量は同じではありません。

上越では、水分を多く含んだ湿った雪になることも多く、雪が締まったり、雨や気温の上昇によってさらに水分を含んだりすると、屋根にかかる負担は大きくなります。

そのため、

「何cm積もるか」だけではなく、「その雪を建物がどれだけの重量として受けるのか」

まで考えなければなりません。

実際、上越市では市内全域が多雪区域に指定されており、地域ごとに垂直積雪量が設定されています。

さらに積雪荷重についても基準が設けられており、耐雪式の住宅では、想定する雪の重量に耐えられる構造であることが重要になります。

雪を屋根の上に載せるということは、その重量を屋根だけで受けるわけではありません。

屋根から梁へ、梁から柱へ、柱から基礎へと力が伝わり、最終的には家全体で雪の重量を支えることになります。

だからこそ耐雪式では、屋根だけを強くすればいいのではなく、柱・梁・壁・基礎まで含めた構造計画が大切です。

雪の重量を十分に考えずに設計すれば、建物に大きな負担がかかり、変形や損傷、最悪の場合には倒壊につながる可能性もあります。

同じ雪国でも、上越と北海道では雪が違います
「雪国の家」と一括りにされることがありますが、実際には地域によって雪の降り方や雪質は大きく違います。

北海道の内陸部などでは、気温が低いため比較的水分の少ない、いわゆる「パウダースノー」が降る地域があります。

一方、上越では水分を含んだ湿った雪になることも多く、同じ積雪深でも屋根にかかる負担の考え方は変わってきます。

また、雪は内部に多くの空気を含むため、積もった雪そのものには断熱性があります。

そのため寒冷地では、屋根に積もった雪が外気との間にある断熱層のような働きをすることもあります。

ただし、これは「雪を載せておけば断熱材になるから、雪下ろしをしなくても大丈夫」という意味ではありません。

北海道でも地域によって積雪量や雪質は違いますし、無落雪屋根や滑雪屋根など、さまざまな雪処理方法が採用されています。

大切なのは、

「雪国だからこの屋根」ではなく、その地域の雪に合った家をつくること。

上越には、上越の雪に合った構造と屋根の考え方があります。

全国共通の住宅仕様だけを見るのではなく、実際にその土地で降る雪まで考えることが、雪国の家づくりでは重要だと思っています。

雪に強い家と予算を両立するために
「雪に強い家にしたいけれど、その分建築費が大きく上がってしまうのでは?」

と心配される方もいらっしゃると思います。

確かに、雪の重量に耐える構造や雪国に必要な性能には、きちんと予算をかける必要があります。

だからこそ私たちは、お金をかけるところと、シンプルにできるところを分けて考えることが大切だと思っています。

例えば屋根をシンプルな切妻や片流れにすることで、構造や納まりを分かりやすくし、部材や施工の手間を抑えることができます。

そこで抑えられた予算を、雪の重量に耐えるための柱や梁、基礎、あるいは冬の寒さを和らげる断熱性能などへ充てる。

形を複雑にすることにお金をかけるのではなく、長く安心して暮らすための性能にお金をかける。

私たちは、そんな家づくりを大切にしています。

とはいえ、最後は「好きな屋根」でいいと思います
ここまでシンプルな屋根のメリットをいろいろとお話ししてきましたが、家は性能やコストだけで決めるものでもありません。

切妻屋根が好きな方もいれば、片流れのシャープな外観が好きな方、寄棟の落ち着いた雰囲気や、入母屋の重厚感が好きな方もいます。

毎日帰ってくる自分の家ですから、最終的には、

「この家が好き」

と思えることも、とても大切だと思っています。

私たちとしては、構造・施工性・コスト・メンテナンスまで考えると、できるだけシンプルな屋根をおすすめします。

でも、それを押し付けるつもりはありません。

「このデザインが好き」
「どうしてもこんな屋根にしたい」

という希望があれば、その好みを大切にしながら、上越の雪の中でも安心して暮らすためにはどうすればいいかを一緒に考える。

それが工務店の仕事だと思っています。

屋根に限らず、家づくりに「これが絶対の正解」というものはありません。

メリットとデメリットを知ったうえで、最後はご家族が納得して選ぶ。

タケハウスでは、そんな家づくりを大切にしています。

まとめ
屋根にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。

しかし、豪雪地帯である上越地域で屋根を選ぶ場合は、単純に外観の好みだけで決めるのではなく、

「雪をどこへ落とすのか」
「雪を屋根に載せておくのか」
「上越の重い雪をどう支えるのか」
「将来の雪下ろしをどうするのか」
「玄関や駐車場に雪が落ちないか」
「道路や隣地に影響しないか」
「構造や建築コストとのバランスはどうか」

といったところまで考える必要があります。

そして私たちは、特別な理由がなければ、屋根はできるだけシンプルにすることをおすすめしています。

シンプルな屋根は、単に建築費を抑えるためだけではありません。

構造を分かりやすくし、雪や雨の流れを計画しやすくし、施工性や将来のメンテナンス性を高めることにもつながります。

家は建てたときだけではなく、その先何十年と暮らしていくものです。

上越の雪と長く付き合っていく家だからこそ、見た目だけではなく、冬の暮らし・雪の重さ・構造・コスト・将来のメンテナンスまで含めて屋根を考えることが大切です。

タケハウスでは、敷地条件や周囲の環境、ご予算、そしてご家族の好みや暮らし方を確認しながら、その家に合った屋根をご提案しています。

「この土地ならどんな屋根がいい?」
「できるだけ雪下ろしをしたくない」
「好きな外観にしたいけど、雪は大丈夫?」
「雪対策をしながら予算も抑えたい」

そんな段階からでも、お気軽にご相談ください。

【参考】
上越市「建築設計に係る制限等」
上越市「克雪すまいづくり支援事業」
CNN.co.jp「雪かきめぐり夫婦を射殺、撃った男性も自殺 米ペンシルベニア州」

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